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両親と私、3人分の布団を敷けば、もう足の踏み場がない。
そんな部屋でした。
今思えば、こんな環境でよく中学受験したな…勉強部屋がないのに。
こんな所によその子どもを引き取れないという、母の気持ちはわかる。
わかるけれども、天理教は自分を犠牲にしてまで人助けするのが美徳なんでしょう?
母はそんな人間ではありません。
自分と、身内だけがかわいい、他人は自分より劣っていなければならない、自分より優れている者は許せない、そういう人間です。
そんな母に、「人を助けてわが身助かる」天理教を押し付けられたくないし、家のお金を貢ぎ続けたことは、許せるものではありません。
長女は私より12歳上。このとき35歳だったはずです。
父は身を粉にして働き、養育費を払い続け、長女が結婚した際は祝い金を持っていったと聞いています。
しかし長女も、長男も次女も、一度も父の見舞いには来なかったのです。
そんな彼らと、父も会いたくないと言っていましたが、本心はどうだったでしょう。
会いたくない子どものために、あんなに働くでしょうか。
本当はひと目、会いたかったんじゃないのかな…お父さん、本当は。そうでしょう?
80話参照≫