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補足ですが、このとき
「現逮(現行犯逮捕)だ!!」
「公妨(公務執行妨害)だ!!」
という声は上がりました。
しかし、自ら率先して手錠をかける者が誰もいなかった。
タイミングを逸したのです。
「現行犯逮捕」は「現行犯」でなければならない。時間が経てばそれは、現行犯ではないのです。
「逮捕しないのか」
「もう遅い」
そんなやりとりもありました。
叩かれた警察官は、50代くらいの警部補です。大勢の前で子どもに平手打ちされるという屈辱は、大変なものだったでしょう。
実は私も、似たような経験があります。いつか、警察官時代のことも描きたいと思います。
「上申書」についても補足します。
法律の専門的な説明はわかりませんが、法的な手続きによらずに、単に申し立てや報告などを行うものです。
「逮捕には至らないけれども、悪いことをした」者を、そのまま何事もなかったかのように帰すわけにはいかない、したがって、上申書を書かせ、「記録」には残しておく。後日、その者が何かやらかした場合、このときの記録がないのは、警察としては都合が悪いわけです。きちんと「対応した」という記録が残っていれば、何かあったとき前回のいきさつを追うことができ、場合によっては犯した犯罪の端緒となりうるのです。
「上申書」と紙の上部に書き、おこなったことについて、そして、年月日と氏名と住所を書く。相手が子どもの場合、「上申書」という言葉を知っているとは考えにくく、「警察に言われて書かされた」として任意性が失われるため、「私がやったこと」などと書く場合もあります。
事件化できないなら、息子にこれを書かせてくれと私は言ったわけですが、却下されたということです。